音楽失敗談

失敗談と言いますか、失敗談しかないんですよね。
その一例です。

20くらいの頃、友人に紹介されてお会いした ピアノの先生の方がいらっしゃいます。
その方は プロミュージシャンでしたが、その頃 お年なので引退された方でした。

その方のご自宅でセッションさせていただきました。

このころの私は 「枯葉」もよく知らないような状態で、ラグタイムの真似事のような事を 得意気にやってたような気がします。

で、まあセッションが始まって いわゆるモダンジャズが鳴り始めるわけですけど。

いざその場にいると、
鳴ってる曲の リズムが全然分からない。
そんなもんだから、たったの一つの音も出せない。
とにかく なーんにもなーんにも出来ない。

という 泣きたくなるような状態になりました。

「今ここで自分が何かやったら(音を出したら)この良い演奏が壊れてしまう。」と思いましたね。

「とにかく早く 今この場に穴を掘って、とりあえず埋まりたい。」とも思いました。


まあでもその後「時間が合えば またいらっしゃい。」と おっしゃっていただいて、図々しいガキは その後本当に何度も伺いました。

先生には超ご迷惑だったと思います。

今思うと、先生も練習のつもりで 「スローテンポで超レイドバック(流れているリズムからずらしてモタモタ弾く)させる」とかやってたりもしたんですよね。

これ 拍がわかんなくなるんですよ。

体にずーっと足払いかけられてるような 体感があるんですよ。本当に。


それが何なのか 当時はサッパり分からなかった。(今もだろ。)
「先生の素晴らしいピアノと 全然分からなくて、何もできない自分がいる時間がただあった。」という感じです。

あと、先生たまにトランペット吹いたりしてましたね。
私のしょーもない伴奏で。


その頃は ギターの練習を必死にやってました。
練習しては玉砕。練習しては玉砕。の繰り返しでしたね。(あ、これも今でもか。)

夜、店に行ってブルースのジャムセッションとかだったらそこそこやれたんですけどね。
とにかく先生のお宅では何もできなかった。


今思うと、良い解釈をすれば 一人前扱いしていただいてたのかなと思ったりもします。
結局、ついぞ授業料も払ってませんし。

そしてなぜか 先生の演奏会に出させていただいたりしましたから。

演奏会で先生は 幼稚園くらいの子供のリクエストに応えたりしてました。

こないだ バドパウエル(モダンジャズピアノの巨匠です)みたいな事やってたのに、「象さん」やら「アンパンマン」やら 原曲のまま アレンジ一切なしでいきなりやってるんですから。


そのお姿を見たとき、「この人には絶対にかなわない。」と思いました。

Cメジャースケール(楽器練習の超基本)で頭がいっぱいの状態のときに そんな余裕はありませんよね。
と、同時に「プロってすげえ。そして、恐ろしい。」とも思いました。


初めてお会いした時に 「どんなジャンルの音楽をされているんですか。」と伺った事があります。
先生は「何でも。まあ何でもだよ。」と 仰っていました。

そんなわけはないでしょうとずっと思ってましたが、本当なんですよ。
本当に「ピアノでやれることは何でもやる」人だったんです。


そういう経験から、自分が音楽を聴くときは とにかく「リズムを聴く」のが大前提になりました。
そのジャンルの有名な人の演奏を聴く。その時はリズムを聴くようにする。

ブルースだったらマディウォーターズがやってるリズムを聴く。

ボサノバだったらアントニオ・カルロス・ジョビンがやってるリズムを聴く。

ファンクだったらジェームスブラウンがやってるリズムを聴く。
とかですね。


取り留めが無くなりましたが

「リズムが分からないと、間違った音すら出せないよ。」

という事が 骨身に染みて分かった経験でした。

そして先生のように 私も人に寛容でありたいと思いますね。

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